2017年12月1日金曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「下り葉の曲」

39回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(26)「下り葉の曲」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。

「裏の曲」6曲目は「下り葉の曲」です。
『琴古手帳』によれば、京都明暗時御門弟松山子より伝来した曲で、祇園祭礼の際に吹かれた楽曲だということです。
古くより一節切の曲名としても知られ、また根笹派錦風流にも同名の楽曲がありますが、詳しい関連はわかりません。

琴古流の「下り葉の曲」は、琴古流本曲としては拍子のはっきりとした曲であると同時に、個人的には旋律がとても美しい楽曲であると思います。「旋律の美しさ」でいえば、表の「秋田菅垣」や「虚空鈴慕」の後半部とならび、琴古流を代表する「美メロ」といえるのではないでしょうか。「新日本音楽」以降、西洋音楽に影響を受けた、「美メロ」の新曲は数多く存在しますが、この楽曲のような近世以前の純日本的な「美メロ」の美しさも、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいところです。

なお、この「下り葉の曲」も、楽曲の前半部と後半部が「吹き合わせ」可能になっています。後半部の方が手が多く華やかで、まるで「替手」のような手付けになっています。音楽的な仕上がりを意識して作曲された楽曲と言えるでしょう。この曲も、抜粋なしで全曲通しです。



「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。


2017年11月11日土曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「佐山菅垣」

38回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(25)「佐山菅垣」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。



「裏の曲」5曲目は「佐山菅垣」です。
『琴古手帳』によれば、初代琴古が「古伝三曲」や「鹿の遠音」などとともに一計子から伝授を受けた曲で、当初は「尺八スガガキ」と呼んでいたそうです。

琴古流本曲には「〇〇菅垣」と末尾に「菅垣」がつく曲が5曲(秋田菅垣、転菅垣、三谷菅垣、佐山菅垣、曙菅垣)ありますが、個人的にはそれらのなかでこの「佐山菅垣」が、もっとも旋律が「六段」など、糸の「菅垣」と旋律の形が似ているように感じます。ただし、演奏スピードがゆっくりで、リズムもやや本曲ならではの崩しが入っていますので、いかにも「六段」を吹いているような感じとは少し違っています。また尺八本曲の「〇〇菅垣」には、段のくぎれや「各段52拍子」のような拍子の数の規則性などはありません。

全体的に地味な曲ですが、演奏する際には、古の尺八成立過程での「糸との関わり」に思いを馳せながら吹いています。なお、この曲も抜粋なしの全曲通しです。


「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。



2017年11月9日木曜日

三浦琴童譜のレプリカ

僕の使っている、琴古流本曲の「三浦琴童譜」は、学生時代にオリジナルを元に、なるべく忠実に再現した自作のレプリカなんですが、オリジナルと同じような経年変化が出てきました。
表紙は「仙通(せんつう)」と呼ばれる表装用の布地なんですが、なんと縦糸は絹、横糸は和紙!なんだそうです。ですから、このように角からほつれてくるわけです。
元にしたオリジナルは、製本された昭和3年から何十年も経て、この部分がかなりほつれていました。



ちなみに「仙通」については、熊本の老舗の表装やさんにオリジナルを見て直接教えていただき、そのお店でこのレプリカ用の布も購入したので、間違いない情報だと思います。
表装の業界からすると、そんなに高価な布ではないそうです。
ちなみに、楽譜の紙は、機械漉きの鳥の子紙という和紙だということで、そちらも同じく鳥の子紙にて再現しています。




オリジナルに付いていた、茶色の包み紙も、茶封筒を利用して再現しました。
茶色の包み紙の題簽の上下がズレているのも、オリジナルの再現です。
ちなみに、左右に貼り付けている補強紙は、角が破れたためで、オリジナルもこの部分が破れていました。

2017年11月6日月曜日

夏目漱石『思い出すことなど』

久しぶりに漱石を読んでいます。

活字離れして久しいですが、最近ネットにも限界を感じ、ひさびさに「活字もいいな」と改めて思いました。

電気がなくても、ギガ数が残ってなくても読めますね。 漱石は、文学作品の中で最も好きな作家です。内容もですが、文体がいいですね。

 

2017年11月1日水曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「吟龍虚空」

37回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(24)「吟龍虚空」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。


「裏の曲」4曲目は「吟龍虚空」です。
『琴古手帳』によれば、一月寺御門弟吟龍子より伝来、吟龍子が「九州鈴慕」を懇望したので、初代琴古が伝授したと記されています。

この「吟龍虚空」と、表の曲の「虚空鈴慕(かつては「虚空」)の譜面を並べてみると一目瞭然ですが、非常に曲の構成が似ています。「似ている」というよりも、「虚空の楽曲の構成はそのままに、旋律が少しずつ加飾されてやや崩したような雰囲気になっている」といった感じでしょうか。

個人的には「裏の虚空」というか、「虚空鈴慕」が「本手」とすれば、「吟龍虚空」は「破手」「別の手」「行書・草書」のようなイメージを持っています。「虚空鈴慕」にある、襟元を正すような潔癖な感じよりも、少しくだけた個性的な手がつけられています。特に、「虚空鈴慕」を象徴する「ツレー、ゝー、ゝー、へー」のフレーズが、「吟龍虚空」では、レを「4・3、1・3」と、独特の響きを持つリズミカルなアタリによって、この楽曲ならではの表情を与えられています。

18web演奏会の「虚空鈴慕」のときにもふれましたが、琴古流の「虚空鈴慕」は、形式的に非常に整った形を持つ楽曲であり、全体が「起」「承」「転」「結」とでもいうべき4つの部分に分かれ、2つ目と4つ目の部分が吹合せできるようになっています。「吟龍虚空」ももちろんこの形式を踏襲しており、やはり「承」と「結」の部分は吹合せ可能です。自分が抜粋して演奏する場合、「虚空鈴慕」だと「承」と「結」は、それぞれ前半部分、後半部分を半々に演奏していますが、「吟龍虚空」では華やかな後半部分をフィーチャーし、「承」は短めに、「結」は長めに取り上げた抜粋にしてみました。


「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。


2017年10月9日月曜日

【H29 「秋の山口籟盟webストリートライブ」『茶湯音頭』】

このところ、本業が非常に忙しく、なかなか演奏活動等(リアルな場でも、web上でも)に時間が割けない状況が続いております。まあ、本業が充実しているということそのものは、大切なことなのかもしれませんが。しかしまあ、人間、「余裕」というのは大切なものですね。3連休をかけてやっと、精神的にも余裕を取り戻したところです。

さて、昨年はFacebook上で展開した「秋のwebストリートライブ」、今年は色々あってYouTubeおよびブログ上にて開催させていただきます。曲目は『茶湯音頭』。このところの忙しい間にも、手慰みになんとはなしに譜本に手が伸びて吹いていた曲です。心が求めていた楽曲だったのでしょう。





最近、「尺八を吹くって、どういうことなのかなぁ~」とか、「演奏活動って、なんなのかなぁ~」とか、ぼんやり考えたりします。「而今の会」がひと段落ついて、差し迫った目標がないというのもあるし、仕事で忙しいというのもあるしで、思考が彷徨っているのでしょう

こういうとき僕は、「そもそも、『音楽をやる』って、人間にとってどういう行為なんだろう??」とか思ったりするわけです。


その一つの答えの形かな、と最近思ったのが、たまたまFBやらYouTubeやらで見かけた「有山じゅんじ」というブルース・ギタリスト、そしてその方が出演していた「なにわブルースストリート」というイベントの告知ムービーでした。


何というか、いかにも「なにわ」な感じの、いい塩梅に枯れたブルースとギターが味わい深いのですが、テクニック的に上手なのもそうなんですが、なんだか「音楽とともに生活している」「仲間と分け隔てなく音楽を楽しんでいる」感が、本当にすばらしいなと思ったわけです。

そういえば、大阪に移住してすぐの頃は、いろいろなストリートライブを見に行ったりとか、知人のお世話になってライブハウスで演奏させてもらったりとかしたなぁ、と、かつての思い出がよみがえってきます。



そういうフィーリングが尺八でも出せたらいいんですけど
なかなか自分なりの音楽としての答えが出せませんね。

「尺八本曲」とか、「地歌箏曲」とか、好きな音楽はたくさんあるんですけど。「生活の中の音楽」となるまでには、自分の中にもう少し熟成が必要なのかもしれません。



そういうことをもやもや思いながらの3連休の最終日、思い切って『茶湯音頭』を演奏してみました。
練習なしの一発どりで、多少あらがありますが、そういうもんかなと思ってそのまま上げています。服装も普段着のままです。最近、本当に「音楽って、なんなんだろう??」とか思ってますが、今の現状をストレートに出してみることで答えに近づけるのかもしれません。



ああいう「なにわブルースストリート」みたいに、分け隔てなくわいわいやってみたいな

2017年10月3日火曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「目黒獅子」

36回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(23)「目黒獅子」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。


「裏の曲」3曲目は「目黒獅子」です。
『琴古手帳』によれば、一月寺の末寺で、横浜にあった青木山西向寺の門弟露秋子より伝来、露秋子が「京鈴慕」を懇望したので、初代琴古が伝授したと記されています。

曲名の末尾に「獅子」がつく楽曲としては、琴古流本曲にはこの曲の他に「栄獅子」があります。「〇〇菅垣」が糸の曲と関係が深いというエピソードは以前取り上げましたが、「〇〇獅子」も、地歌箏曲においても1ジャンルとして確立されています。尺八本曲の「獅子」がどこまで地歌の獅子物と関係があるのかは詳しくわかりませんが、地歌箏曲と尺八本曲の世界が、相互交流を持ちながら発展してきたのではないかというのは、想像に難くありません。有名な話で、「八千代獅子」は、原曲が尺八本曲だったらしいというのもあります。

「栄獅子」「目黒獅子」に共通した要素として、曲の構成に「繰り返し」や「段合わせ」などの要素が盛り込まれているというのがあります。この「目黒獅子」も、前半部と後半部が吹合せできるよう、段合わせ可能な旋律となっています。また、繰り返しフレーズの多用や、一まとまりの旋律を数回繰り返すような演出もなされています。流石に昨今の琴古流本曲の演奏スピードでは、繰り返しまで含めて全て演奏すると冗長すぎるきらいがあり、今回は繰り返しをせず、段合わせの箇所は前半部を取り上げ、10分程度の演奏にまとめました。



「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。