2016年1月17日日曜日

「千鳥」の手事は、どこから?

web演奏会で「千鳥の曲」をさせて頂いたので、
ちょっと脳裏をよぎった話題を…



私は都山流で尺八を始め、後から琴古流に転門した者なのですが、
琴古流の「千鳥の曲」を習ってびっくりしたのが、
「手事」の始まりが都山とは違う場所なのです。
青譜の「千鳥の曲」

白譜の「千鳥の曲」でも、同様です。

都山流では、前歌が終わり、しばらく手だけの部分が続いた後、
「波の部」が始まる「ツレー」の所からが手事扱いなのですが
琴古流では、前歌の歌が途切れた次の瞬間の「ハロー」からが
手事になっているのです。

現在の都山譜

昔の都山譜も同様です。大正12年刊、初代中尾都山著



箏の楽譜を確認すると…




邦楽社発行、宮城道雄著「千鳥の曲」
都山流と同じ区切れですね。







家庭音楽会発行、山口巌校閲「千鳥の曲」
都山流と同じ区切れですが、琴古流の区切れのところに、
次のような注釈があります。


「此所より手事と称する人あり」

…なるほど!会派によっては、琴古と同じ区切り方になっている
ところもあるということですね!!
しかし、逆に言うと、やはり都山流と同じ区切れが多数派という
ことになりそうです。




邦楽社発行、中能島欣一著「千鳥の曲」
山田流では、「波の部」を「序」、「千鳥の部」を「手事」と
称しているようです。
しかも、替手の始まりが、波の部の途中からなんですね。
「シャシャテン」のところは、掛け合いになっています。

流派によって違いがあり、おもしろいものですね。







ちなみに、私個人的には、音楽的には都山流の区切り方が
妥当かなと思っており、「波の部」の直前のところは意識を
変えるようにしています。



ただ、やはり前歌がおわった直後のところは、やはり琴古の
区切れを意識しますね。

師匠からのお稽古でも、そのように習いましたし。

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